2009年 6月 新橋演舞場 NINAGAWA十二夜

 2年前の歌舞伎座公演に比べて随分スッキリタイトになった印象です。
これは二度目だし筋も頭に入っているからイヤホンガイドなくても楽勝よ
ね〜。と開演前に筋書きを読んでいて、あれれ?菊之助は亡霊なんじゃな
かったっけ?それ、「我が魂は〜」とストーリーまざってます!(笑)

 前回一番気になった点が、亀治郎翫雀の「笑い」の芝居が強過ぎて主
役や物語を喰ってしまった印象を受けた事でした。今回その部分が丁度良
く薄まって、芝居のスパイスとしてピリリとうまく効いていた様に思いま
す。そしてどなたも、役と役者の一体感、馴染み具合が物凄い。新作なの
で前人の手あかがついていないまっさらな役だったからでしょう。

 菊之助の早変わりが素晴らしかったです。スムーズで息ひとつ乱れてい
ない。美しさと凛々しさだけでも楽しめるのに、その二つがくるくる目ま
ぐるしくスイッチするのですよ!これは一見の価値ありです。

 亀治郎〜!麻阿〜!面白い〜〜!小気味の良い芝居、所作の美しさ、お
見事。博識なクイズの亀兄さんも素敵だし、一條大蔵なんかも良いけれど
やっぱり女形で本領発揮する人です。

 翫雀。芸達者だな〜!ある意味この芝居で一番難しい、この人にしか出
来ない役ではないかと思いました。とても上手に芝居の筋と笑いを繋いで
おられました。

 時蔵。可憐で美しかった〜!女房や傾城など色々な役があるけれど、女
形さんはやはりお姫さまが良くないとなあ、と思う。21世紀の女形として
この人の存在感はやっぱり重要。歌右衛門亡き後福助時蔵芝雀三名の
肩にかかるものは重い。次の世代に本当に美しい真の女形を繋いで欲しい
です。

 我らが大スター菊五郎様。出て来た瞬間ピッ!と舞台が締まる。この存
在感。菊之助の成長も著しいのだけれど、まだまだおとんがいないと駄目
やん!とこういう時思う。

 今回一番の大失態。ちょっとケチって3等B席の左側のチケットを取った
ら亀サブ兄さんが全然見えませんでした。声だけ堪能。がっくり。アホだ
よ...、私。立ち位置は解ってたはずなのに何故こんな席取ったんだ...。