リビドヲ 弐藤水流

 あ、これきっと私好き。とbeckさんの所で本書のことを知った時に直感
した一冊でした。直感大当たり!どんな文章書く人だか知りたかったので
とりあえずちょっとだけ読んで、読みかけの他の作品に戻るつもりだった
のにそのまま一気に最後まで読んでしまいました。

 本作がデビュー作ということもあって、いらんとこ丁寧な割に肝心の所
でわかりずらい部分があったり、等の粗もあるし文章も下手でもないけど
上手くもないレベル。でも面白い!!面白ければ多少の粗は目をつぶりま
す。古い映画フィルムを見た後失踪した夫、猟奇的切り裂き魔、探偵役っ
ぽいけどいまいち怪しい精神科医、道具立ては充分。ちょっと盛り込みす
ぎかも、という位。警察官の家庭の話なんかは削ってすっきりさせても良
かったのでは。映画フィルムのネタが出て来たときはまさか画面から貞子
がニューっと出て来るんじゃないだろな、と思いました。笑

 量子力学もメタミステリも昭和30年代も小説のネタとしては大好物。大
変楽しめました。

 星3.9個。