2010年3月 歌舞伎座 第二部 その一

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菅原伝授手習鑑 筆法伝授


 寺子屋ってあんまり好きじゃなかったんです。繰り返し上演されるので
飽きたっていうのもあるし、以前某役者さんのタメまくった芝居を観て白
けたっていうのもあるし、そもそも物語自体に「いやいや、普通どう考え
たってそこまでしねーし!」という醒めた目線が多少なりともあった。

 でも、今回このひと幕を観てちょっとわかりました。ああ、そりゃ、そ
こまでするか、と。やっぱり物語というものは理由や伏線や流れがあるの
で飛ばしちゃうと面白さ減なのだ。寺子屋では千代や戸波は印象深いけれ
ど源蔵の影が薄い。源蔵の見せ場はこちらにあったのです。地味ながらも
見ごたえの有る、寺子屋の見方が変わる演目でした。

 源蔵には最近出ずっぱりの感のある梅玉。菅丞相に仁左衛門。ニザ様っ
て自分の中のイメージではもっと声が低いので、いつも台詞にかかった瞬
間「声、高っ!」と思う。他に魁春東蔵芝雀