2010年4月 歌舞伎座 第二部 その二

?H3>藤娘

 藤十郎を観た瞬間息を呑みました。ぎゅっと凝縮されたオーラをパーッ
と放ったその迫力。これが私と同じ人間でしょうか!?ただただ圧倒され
て口をポカンと開けたまま魅入ってしまいました。こ、こ、こ、この人凄
い!なんだか巧く言えないけど凄いよ!!!

 歌舞伎座さよなら公演最終月で大御所藤十郎の藤娘ということで、長唄
もおそらくトップクラスの方々を惜し気もなく投入したのでしょう。踊り、
長唄一体となった近年まれに見る舞踊だったと思います。今の若手が精進
していったら果たしてこの境地に立てるのかなあ。

?H3>総評

 最後の歌舞伎座にふさわしい豪華なおせち料理の様な座組でした。ここ
まで豪華な顔ぶれを観てしまって今後普通の歌舞伎に満足出来なくなった
らどうしよう、と思いましたが今月はあくまでもコッテリお祭りメニュー。
肉ばっかりのお弁当みたいなもので、毎月コレだったら胃にもたれる。や
はり歌舞伎はベテラン役者と若手、三階さんバランス良く入り交じった野
菜も入ったお弁当。食べ飽きない味なのです。今回始めて歌舞伎に触れた
人も多いと思うけれど、演舞場や新歌舞伎座で是非普段の歌舞伎も観て欲
しいと思いました。

 おそらく学校や職場、自宅以外で一番長い時間滞在した場所であろう歌
舞伎座の建て替えには寂しい気持ちもあります。でも、観ずらさ、座席の
狭さを不便に感じていたのも事実。大柄な自分は後ろを気にしてどうして
も縮こまって観てしまうので観劇後の腰痛も辛かった。自分だけなら階段
で良いけれど親を連れて行く際にはやはりエスカレーターも欲しいと思う。
この歌舞伎座との別れを哀しむのではなく、快適で観易い劇場として生ま
れ変わる新歌舞伎座を楽しみに待ちたいと思います。


 歌舞伎座さん、沢山の楽しい時間をありがとう。