2010年5月 新橋演舞場 夜の部 その一

 歌舞伎座から演舞場へとバトンタッチ。歌舞伎座團十郎助六で終わ
り、演舞場が海老蔵助六から始まるなんて、松竹も粋なことするじゃな
いの、といつもの様に三越でお弁当を仕入れ、東銀座に向かいました。

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 歌舞伎座の前を通ってびっくり。先月の賑々しさはどこへ!?あまりの
寂しい佇まいに愕然としました。今までも休演日の人気のない歌舞伎座
見たことはあったけれど、そういう寂しさとは桁が違う、完全に動きを止
めて深い沈黙に入ってしまった歌舞伎座にショックを受けました。よく、
家って人が住んでいないと駄目だって言うけど、劇場も芝居がかかってい
ないと駄目なんだなあ。



?H3>熊谷陣谷

 七之助の立派さに驚き。どうも七之助は昔に観たほっそい身体にふんど
し一丁で石段を転がり落ちるシーンの痛々しい印象が強くて線が細い、と
思ってしまうのですが、今はもうそんなことないですね。意外とどっしり
した凄みと存在感がある。

 染五郎がこういう役だと父上にクリソツ。吉右衛門にもやっぱり似てる
なあ。海老蔵も頑張っているけれどあんまり彼の良さが生かされない役で
勿体ない。

 亀三郎萌え♪やっぱりファンとしては赤面よりも格好良いお侍さんの方
が嬉しい。コミカル系や世話物系のキップの良い役よりも、織り目正しい
きっちりした役の方が得意な亀三郎、このテの役柄は間違いないです。

 残念ながら中盤若干退屈してしまいました。この演目は彼等の親世代だ
ともっと面白いんですよね。見どころは色々あったし、発展途上の若手を
見守ることも花形歌舞伎の醍醐味ですが、もっと、なんか、こう、若手な
らではの活きの良いパッと派手なの演ればいいのに、って思っちゃった。

?H3>うかれ坊主

 全然期待していなかったのに意外と楽しめた演目。ちょっと滑稽味のあ
る舞踊はねいねい奴や人外系(土蜘蛛とか)と並ぶ松禄の得意ジャンルで
すね。踊りだから台詞はないと決めつけていたらいきなり松禄が「のっぺ
らぼ〜のすっぺらぼ〜」って唄い始めてびっくりしました。三津五郎で観
ていたい演目。

その二(助六編)に続く