2010年5月 新橋演舞場 夜の部 その二

?H3>助六

 海老蔵新之助時代に初役で助六を演じたのがここ、新橋演舞場でした。
初々しく危うい助六はあの時限りの瑞々しさに満ちていて今でも鮮やかに
甦ります。あれから10年経ったのだなあ。その後の襲名公演では助六とい
う存在を畏れていない彼の成長を頼もしく思ったものです。

 そして今回の助六。襲名時には父の教え通りの團十郎タイプ助六でした
が、そこから更に進んで海老蔵が自分の助六を作り上げようとしています。
完璧に継ぐことで完成ではなかったのだ。今ここに、新しい助六が産声を
上げたことを嬉しく思います。

 揚巻には先月白玉だった福助。以前観た福助揚巻は悪態が憎々しすぎて
ふてぶてしい印象でしたが、今回はいじましさ、恋する女の可愛らしさが
あってとても良かったです。時々「玉三郎!?」と錯覚する程似ている瞬
間があって、先月ずっと近くで観ていてしみついちゃったんだろうな、と
思いました。私が観たのが月初だったのでそろそろ玉三郎くささは抜けて
いるかも。七之助白玉との息もぴったり。

 いやっほ〜〜い!福山のかつぎ亀三郎ステキす!膝下萌え♪今筋書き見
ていて気付いたけど福山のかつぎって『亀吉』って名前なのね。死んだお
じーちゃんと同じ名前だ。笑。

 ひゃ!朝顔仙平が亀寿か!これは意外。兄ならまだしも。ああ、でも、
今までの寿君のイメージにはなかった役だけど、これはアリかも。なかな
かいけてる。

 松禄のくわんぺらが馴染んでいたので何度目かなんだろうな、と思った
ら初役ですって!

 十郎兄さんに染五郎。十郎は御曹子なら誰がやってもウケる得な役。染
五郎もソツなくこなしていたけれど、意外と彼は十郎五郎で言ったら五郎
かも。見た目は線が細いはんなり系だけれど、案外芸のタイプとしては太
い?助六で何が似合うかって言ったら実は意休だったりはしまいか。
 
 そして!今回一番のお楽しみの水入り!おおっ!寿君出て来たっ!そう
か!ここでもう一度朝顔仙平が出て来るのか!寿君得したねえ。良い時に
仙平が廻って来たね。

 髪を下ろした助六が色っぽい!この場はもしかしたら團十郎より海老蔵
の方が良いんじゃないかな。水モノ系はあまりゴツくない色男が演るのが
いいわあ。


 先月あれ程素敵な助六團十郎が演じてしまって、あれ程豪華な助六
歌舞伎座で盛り上がってしまって、それを受けての若手演舞場助六。見劣
りしても仕方がない、と思っていたのにこちらはこちらでとても良かった
です。熟練したベテランも良し、瑞々しい若手も良し、同じ演目を何度観
ても楽しめるってぇんだから歌舞伎には終わりがないじゃげぇせんか〜。



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 おおっ!演舞場に櫓(やぐら)がっ!