血統 ペディグリー 門井慶喜【用語解説付き】

 最初はね、ペットの肖像画描きを生業としている男性を主人公にした連
作短編集かなー、って気楽に読んでたのですが、あれよあれよという間に
不穏な展開に。クリビツですよ!びっくり。心の準備が...。

 主題が主題なので楽しい物語にはなるべくもないけれど、それにしても
なんだかしんどいお話でした。着想は悪くはないと思うし読みやすいのだ
けれど、どうもノレない。小説も映画も私は動物ものは駄目だなー。おも
しろ楽しいだけでは物足りないし、かと言って感動仕立てじゃ白けるし、
悲しくされれば耐えられないし。どういうスタンスで物語と向き合えばい
いのかわからんのよ。

 門井さんってそんなにお年じゃないよねー?なんか主人公が30代にして
は古くさい。相手の女性の不自然な行動は、これ古いというよりはメンズ
ドリームでしょうか。こういう局面で大抵の女はこういう行動はとってく
れないと思うよ。

 星3個。

しら菊のだんだんミステリじゃなくなってきた用語解説
・メンズドリーム
 嫌われ松子が男が出所するのをひたすら健気に待つ、とか泡坂作品の主
人公が旅行先で美しい女性と出会って女性からモーションかけてきてその
日のうちに関係を持つ、等男性作家が夢見て描いたものの女性読者は鼻白
むシーンのこと。