死ねばいいのに 京極夏彦

 物騒なタイトルにどんな恐ろしい物語かと構えて挑んだら主人公がチャ
ラい。でも読み進めて行くうちに言葉遣いはチャラいがとても鋭い奴なん
だな、と気付き、それから読む手が止まらなくなりました。京極堂シリー
ズが大好きだけれど京極さんはシリーズ外作品も面白いんだよね。
『ルー・ガ・ルー』も良かった。

 ケンヤの人物造形がリアル。お金を貯めたって欲しいものがないから仕
方ないと言い、殴られても殴りかえさずに、別に負けたとか思ってねーし、
勝てるとも思わねーし勝ちたいとも思わねーすよ、と返す。私より年上の
世代ってこういう今時の若者のスタンスを理解出来てない人が多いのに京
極さんはさすが解ってるなあ、と思いました。いるよー、こういう子。

 謎のチャラ男ケンヤは現代版憑き物落としなのか、はたまた!?それは
読んでからのお楽しみということで。^^

 星3.8個。