ふたりの距離の概算 米澤穂信

 タイトルの格好良さと表紙のほんわかしたかわいさが目を引く穂信新作。これ
読んでる間普段本の話などほとんどしない二人の同僚から表紙がキレイだと言わ
れました。ノンシリーズだと思って読み始めたらホータローが出て来てびっくり。
古典部シリーズだったのかー!

 タイトルは暗喩で意味は最後にわかるんじゃないかと思っていたのに解り易く
ラソン大会の日が舞台でした。勿論走っている距離だけではなくて人と人との
心の距離も含まれているのだけれど。

 メインの謎の周辺にちりばめられた小ネタ的な謎の方が面白かったのが残念。
メインの謎にはいまひとつ興味が持てず、真相を聞いても「ふーーーん。あっ、
そう。」というそれ以上でも以下でもない感じ。

 ディティールはとても良いです。マラソン大会っていう限られた時間と距離の
中で展開するという設定も良かったし、ホータローと彼女がコースアウトするく
だりも良かった。さすがミステリ界のスイーツ番長、スコーンもだんごも美味し
そうでした。