2011年4月 新橋演舞場 昼の部 その一

?H3>お江戸みやげ

 登場人物達がそれぞれ魅力的でとても面白い演目でした!

 扇雀の存在感がすごい。自分がもし歌舞伎役者の女形だったらどんな役がやり
たいかな、と考えた時にお姫様とか娘役には全然魅力を感じなくて、こういう悪
役とか、仕切るおかみさんとか今回右之助がやった様な色々事情に通じていそう
な脇キャラが格好良いと思うしやりたいだろうなあ。

 萬次郎は今月も秀逸。筋の運びに必要な役柄ではないのだけれど、この一節、
このキャラが芝居の彩りであり深みや広がりを与えるのだ。

 三津五郎好演。冴えない拵えの年増役なので「えーっ、もっと格好良い三津五
郎が観たいよう!」と最初はがっかりしたのだけれど、最後にはどっぷり感情移
入して切なくなってしまった。

 このまんまるのおばちゃん誰よ?と思ったら翫雀だった。この人は達者。笑い
も人情も何をやってもそつがない。きちんと主役を立てるしなあ。しかし丸すぎ
やしないか。パツンパツンよ。今回の役はこれでいいけど、この体系では役柄が
限られてきてしまうのでは。

 亀鶴も良かった。もうすっかり脇を固める中堅の趣き。若手臭さがなくなった
ね。女の登場人物が多い芝居の中でキリリとした立ち姿が光ってた。

 錦之助が色っぽくて美しい。この人が見事な格好良さだからこそお辻がクラっ
ときちゃうところに説得力があるのよ。その割に相手役の孝太郎の魅力がいまひ
とつ出ていなくて惜しい。

 それほど長くないのに見応え充分。これは観て良かった。当たりでした。

 その二に続く