2011年5月 新橋演舞場 夜の部

?H3>籠釣瓶花街酔醒

 あれ?夜の部はこれと舞踊だけ?短い?と思ったら普段は割愛される部分を加
えてのロングバージョンでした。

 なーるほど!というあばた面になった因果と名刀籠釣瓶の来歴がわかる発端。
物語の流れとして重要な意味合いを持っているけれど、いかんせん後の廓の場と
比べると画的に地味で、ふだん割愛されるのも納得と言いましょうか。籠釣瓶を
やるたびにこれを一緒に観るのはしんどいけれど、この演目をより深く味わうた
めに今回観られてよかった、といったところ。

 三幕目でいよいよ吉原です。幕が開いた瞬間の華やぎ。客席から思わず拍手が
出ました。助六とか御所五郎蔵とか籠釣瓶ってこの廓の華やぎが良いのよねえ。
ぱあっと広がる赤、飾り花、大勢連なる花魁道中に心浮き立つ。まさにこの気持
ちが次郎佐衛門が感じたであろう驚きと興奮なのだろうなあ。

 最近ふてぶてしさが前に出てしまうことが多かった福助。今回も心配しました
が思ったよりずっと良かった。相手が吉右衛門だからかな。もしかしたら自分よ
り格下の若手と組むと駄目なのかも。

 芝翫があああ!どうしちゃったんだ、声が全く聞こえない。小さい、というよ
り張りがなくて心配になりました。昔は歌舞伎座の幕見席でもくっきり聞き取れ
たのに。考えてみれば私が歌舞伎を見始めてから十年以上経ったわけで、役者も
それだけ歳を重ねているのだ。

 吉右衛門は特に言う事もないなあ。慣れた役だし安定していて、安心して観て
いられる。壱太郎。最近テレビに出ているので顔と名前が繋がりました。姿も声
もキレイね。先月と打って変わって悪党っ面の錦之助。あんなに美しい人に悪党
顔は勿体ない。

 観劇当日のメモに梅玉って書いてあるんですが、梅玉がどうだったのか思い出
せません。メモした意味がないやんけ。最近かなり梅玉贔屓の私なのでおそらく
良かったのでしょう。

あやめ浴衣


 芝雀歌昇錦之助の舞踊。哀しい物語の後は美しい舞踊で締め。錦之助はや
はりね、姿の良い役者なのだから薄汚い悪党じゃなくてこういうキレイな拵えで
いて欲しいですね。最後に美しい錦之助が観られて満足。^^