屍者の帝国 伊藤計劃×円城塔

伊藤計劃の絶筆を円城塔が書き継いだことで話題となった作品。

屍体が動いて労働用から軍事用まで幅広く活用されている世界というSF的なイン
スピレーションを伊藤氏が残して、あとはテーマから物語の細部に至るまで、ほ
ぼほぼ円城作品なのかな、という印象。フランケンシュタインカラマーゾフ
兄弟といった作品の取り入れ方がとても面白くて、決して円城さんは私には読み
やすい作家さんではないので時間はかかったけれど挫折する気は一度もしなかっ
た。

今後円城作品を追うのであれば避けて通れない重要な一冊だろうし、これ自体と
ても面白く興味深く印象に残る作品だけれど、あえて伊藤氏が最後まで書いてい
たなら、という余計なこともどうしても考えてしまう。

そして癌に犯された伊藤氏が屍者をテーマにした作品を着想していたという事実
が重くて辛い。おそらく最後までは書けないことを予測していたであろう彼がこ
のプロローグをどんな想いで書いたのか。そんなことを考えながら読むもんだか
ら純粋な評価がしずらいわ。目が曇るわ。

星4個。

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