雪暮夜入谷畦道

イメージ 2主人公片岡直次郎の恋人三千歳は花魁です。でもこの物語に出てくる三千歳は助六の揚巻の様に絢爛豪華な打ち掛けを着て練り歩いたりはしません。三千歳はなんとも艶かしく「襦袢の上にちょっと一枚ひっかけました。」姿で登場します。私が観た三千歳は福助でしたが、それはそれは色っぽくて情感たっぷり。お尋ね者の直侍が別れ話を切り出すと、「それなら私を殺して」って韓国ドラマもびっくりする程の熱さで直侍に迫ります。
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対する直侍はクールに色っぽい。雪の中下駄履きで花道を歩いてきますが、その足さばき、傘の扱い、雪を払うちょっとした仕種、着物の裾の端折り具合。全てが計算され尽くして格好良い。助六の様な若々しくて勇ましい格好良さとはひと味違う渋い色気なんです。実際私が菊五郎のファンになったのはお嬢吉三でもなければ弁天小僧でもない、直侍でした。「直はん!」とすがる三千歳をふりきる直侍。たまには韓国四天王じゃなくて菊五郎にシビレるのも良いものですよ。