奇偶 山口雅也

 面白かったー!厚くて図書館に返す日までに読みきれるか心配し
たけど一気に読んでしまいました。この本は日頃小説を読んでいて
感じていたちょっとしたひっかかり(疑問という程のことでもない
けど)を正面から考察してくれています。

 ミステリは通常読者を納得させる解答が提示されて決着がつきま
すよね。そこでは偶然、っていう解法はタブーとされているんだけ
ど、でも実際の世の中はそんなに何でもきちんと説明のつく事ばか
りではない。偶然って日常普通にある事ではないですか。

 と、ここぐらいまでは日頃私が感じていたひっかかりだったので
すが、本書ではさらに、じゃあ必然、って何?という所まで突っ込
んで行きます。自分が必然についてきちんと定義もせずに必然とい
う概念を使っていた事に気付きました。ミステリ、いや小説、フィ
クション全般のあり方の根本を問う問題作。確率とか量子力学の蘊
蓄もすっごく面白い。久々に「読んだ!」と満足感のある本と出会
いました。頭の中をシャッフルされたよ〜。いろいろ考えた!

 星5つ。

読み終わって奥付を見たら装丁が京極夏彦でこれまたびっくり!