白い家の殺人 歌野晶午

 物理的な密室であり、物理的な死体の移動法であり。「この人と
この人が実は同じ人なんじゃないの?」とか「時系列をわざと勘違
いさせる様に書いてないか?」とかついつい穿った読み方をしてし
まいがちな昨今ですが、本書は素直に読みましょう。

 古臭いっちゃー古臭いですけどね。タイトルに「殺人」とか「殺
人事件」って使われるのもこの頃までかな?こういうの、忘れちゃ
いけません。こういうのが好きだったからミステリ好きになったん
だった、ということを思い出させてくれました。

 最近ミステリ界では宗教をからめるのがブームなのか何読んでも
宗教が登場しますが、本書は刊行年から考えて宗教ブーム先駆け、
の様な気がします。

 「長い家」は物足りない、と思いましたが、本書は結構お腹いっ
ぱいになりました。

 星3個。