鎮火報 日明恩

 「ひあきおん」さんでも「ひあけおん」さんでもありませんでし
た。「たちもりめぐみ」さんとお読みするのだそうです。名前の読
み方が一番ミステリ〜。

 消防士雄大君の成長物語に、放火の真相というミステリ的要素、
不法就労の外国人問題、脇役達の生い立ち、と若干詰め込みすぎな
感があります。こってり系ですね。

 消防士という「男の世界」が舞台なので皆多少荒っぽい言葉遣い
なのですが、それがちょっとそらぞらしい。男くさい世界の描写を
読んでいるとカバー折り返しに載っている著者の可愛い感じの写真
が頭の中で邪魔をします。乾くるみが女子寮を描いた時と同種の違
和感。(乾くるみって男ですよね?)

 と難点を並べましたが、実は私結構感動してしまいました。
ずっとここのブログを読んで下さってる方はお気付きかもしれませ
んが私、感動系や癒し系が苦手です。「感動させよう」「癒そう」
という作者の意図がわざとらしく見えると一気に引いてしまいます。
が、本書は「キャー!青いー!」とこっ恥ずかしくなりながらもい
つのまにか雄大君に思い入れており、最期は胸が熱くなってしまい
ました。ヤラレタ!と思いました。

 星3.8個。