夏の名残りの薔薇 恩田陸

 遅ればせながら初恩田陸です。いーじゃないですかあ。好き好き
こういうの。最近クロケンとか霧舎学園シリーズとか事件がパッと
起こってテキパキと物語が展開して行くのばかり読んでいたので新
鮮でした。時間の流れがゆっくりです。

 人里離れたホテルで三姉妹が毎年開催するお茶会。一族と周囲の
人々の会話と、それによって変化する関係性を軸にじっくりと物語
を描き出しています。三姉妹の虚言。前章の展開を覆して始まる次
章。何が本当で何が嘘なのか。

 「訳がわからない」という本書に対する否定的な感想をあちこち
でみかけました。訳がわからないのってそんなに嫌ですか?私は
「わからない」物語が大好きです。現実だって必ずしも説明のつく
ことばかりではないじゃないですか。純文学だと許されるのにミス
テリだとどうしても納得の行く説明が求められがちですが、「わか
らない」事こそがミステリ。謎の中を彷徨って「わからない」事を
楽しむ。それも私には娯楽のひとつです。

 とこれ事を書いた後、森博嗣のブログをチェックしに行ったら丁
度10月19日の分の日記がそのようなテーマでした。
 
 星4個。