モップの精は深夜に現れる 近藤史恵

 モップシリーズ。(と私は呼んでいる。)オフィスの難事件を解
決するお掃除人のキリコちゃんの物語です。

 本書で一番面白いのはトラブル解決人の探偵役である筈のキリコ
ちゃんもまた、悩んでしまう事。天職を見つけ、旦那さんもいて、
明るく可愛く頭の回転も早いキリコ。言葉で並べると鼻持ちならな
い様な気がするキリコ。でもお掃除にも他人のトラブルにも全力で
立ち向かう彼女が、ふと立ち止まって自分の事に悩み始めるとき、
読者は前作同様彼女に深く思い入れてしまいます。

 なんか、こう、ポンポンポン、と事件を解決してきて最終話でキ
リコの物語になる、という構成が非常に巧いです。コーヒーが筋立
てに大切な小道具になるのだけど、それも洒落てる。好きだなあ。
このシリーズ。大介君ももうちょっと出して欲しい..。

 星3.5個。