石の中の蜘蛛 浅暮三文

 幾度か読みかけては挫折していた浅暮三文を始めて読了しました。

 交通事故をきっかけに聴覚が以上な程鋭くなってしまった男の物
語。

 物語としては、うーーん...。という感じ。登場人物の末路はなん
となく予想がついてしまうし、そもそも主人公が何故こんなに彼女に
執着するのかが今ひとつわからず。でもこの「音」の描写はすごいで
す。執拗に読み手に迫ってくる音の洪水。その感覚が不思議。たとえ
ば映画化されたりして実際に音として録音されたものを耳にしていた
ら「うるさいなあ」で終わってしまうと思うのですが。文字でずーっ
と読んでいると「キーーーーッ」てなる。その「音を文字で表すこと
への挑戦」に対して星4つ。ストーリー単体では星2つ位かな...。