さまよう刃 東野圭吾

 娘を少年犯罪で失った父親の復習の物語です。いつもいつも東野
さんには一気読みさせられる...。

 テーマはミステリ界では旬の少年犯罪だし、こういう復習物語っ
てたぶん他の人も書いている。でも東野圭吾の凄い所は復習に燃え
る本人だけではなく周囲の人間の複雑な心理にスポットを当ててい
る事。自分がこの立場だったらどうするか?止めるだろうか。見逃
すだろうか。どっちにしたってやりきれない結末が見えている...。

 気になったのは復習を遂げられるか、のハラハラドキドキで盛り
上げるのか、色々な立場の人たちの苦悩で読ませるのかがブレてい
る様に見えるところ。あえてこういう造りにする事がエンターテイ
メント本の役割なのかもしれないけど、私はもっと思い切って周囲
の人々の苦悩にページを割いても良かったかも、と思いました。

 星3.5個。