「神田川」見立て殺人 間暮警部の事件簿 鯨統一郎

 唄に見立てられた数々の殺人事件を間暮警部が持ち前の美声で歌い
ながら解決します。鯨氏の他の作品に例えるならば「庖丁人轟桃次郎」
系短編集です。轟〜系、というのは”同じ様な話が続く”という意味。
どれもこれも同じパターンなんです。読み終わってみると一つ一つの
話の違いが思い出せない。これ、この半分位の量でも十分だったので
は、と思ってしまいました。

 不思議なのはどれもこれも同じなんですが、読んでる最中は飽きず
に一気に読めてしまうこと。バラエティに富んだ面白い話がいろいろ
入っていそうなのに話と話の切れ目で中断したまま頓挫している短編
集は山ほどあるのに、なぜかこれは最後まで一気に読んでしまいまし
た。何でだろう。見立てられる唄(70年代ヒット曲)のセレクトが
良いのか?いやいや、これこそ鯨マジック?はたまた往年のワンパ
ターン、水戸○門に慣らされた日本人のDNAのせい?面白いんだか面
白くないんだかよくわからない短編集でしたが最後まで一気に読めた
ということはそれだけでも評価すべき、という気がしてきました。

 と、いうわけで星3つ。