誘拐ラプソディー 荻原浩

 失敗したーー。この本自体は失敗ではないんですが読むタイミン
グを間違えました。読んだばかりの貫井の「悪党たちは千里を走る」
とシチュエーションがそっくりでした。頭の中で二つの作品が混
ざって大混乱。

 最近大人気の様で、ブログでも書店でもやたらと目につく荻原浩
読みやすくて面白いです。一定のレベルには十分達していると思い
ますが、本書はちょっとごちゃごちゃしすぎに感じました。面白く
出来そうなのにいまいち生かされていない設定やエピソードがあち
こちに見受けられ、残念です。中国マフィアはどうにもこうにも中
途半端。この程度だったらいっそなくても良かった。登場人物やエ
ピソードを整理するか、あるいは誘拐犯と日本のヤクザと中国マ
フィアと警察、全部出したかったらもっと混沌とスラプスティック
にしてしまうべきでした。

 誘拐犯と誘拐される子供の心の通い合い...てのもあちこちで見て、
今更ねえ、って思ってしまいます。

 星2.5個。