子供たち怒る怒る怒る 佐藤友哉

 うおー。凄いね。この人。短編もいいですねえ。キレがあるなあ。
長篇はそうでもなかったけど短、中編はちょっと乙一に似ている。
乙一よりは若干クールか。達者なんだけどどこか危うくて、今だか
らこそ書ける瑞々しさの様な物を感じました。この危うさ、狙って
意図的に出しているんだとしたら、ものすごい逸材だ。かなりグロ
い描写もあるので苦手な人は注意して下さい。

 子供たちの怒り、諦めと残酷さと大人達への痛烈な皮肉、壊れた
作中世界は行きすぎた過激な物語のようでいて、案外私達が生きて
いる現実世界と紙一重。ああ、恐い恐い恐い。大人の私は本書を読
んで恐いと感じて背筋がゾクっとしたけれど、だからといって別に
何もしないのだよ、子供たちよ。それが大人だ。あなたの周りにぬ
いぐるみをみてむせてる人がいたら、きっと本書を読んだ人ですよ。

 星4つ。