東京ダモイ 鏑木蓮

 面白かった!第52回江戸川乱歩賞受賞作。私はこれ、51回受賞の
「天使のナイフ」よりずっと好きです。

 シベリアの事件の凶器も現代の事件の隠滅方法もびっくりしたし、
俳句や自費出版というモチーフもとても考えられてる。良く出来て
ると思うのですよ。が、消化不良な感があるのは、犯人が明かされ
た時の感慨がいまいち薄いのは、この作品が抱える欠点の全ては枚
数不足に起因すると感じました。

 シベリアでの抑留体験から現代の事件、謎解きも出版社の営業さ
んと警察の二本柱。これっぽっちの枚数に収まる題材ではないので
はないでしょうか。乱歩賞は枚数規定があるから相当削ったんだろ
うなあ。

枚数かけてもっとシベリア時代からみっちり描いたら読み応えのあ
る壮大な物語になったでしょう...。

 星3個。