狂い壁狂い窓 竹本健治

 これはいいじゃないですか~!

 まずタイトルが良い。「狂い壁狂い窓」。綺麗だし洒落てるし語
呂も良し。

 そして、怖さが程よい。私は最近の「怖けりゃいいんだ」的な怖
さと気持ち悪さがえげつないホラーが苦手です。本書はその点レト
ロな雰囲気、病院の跡地で起こる怪異。怖さのさじ加減がとても上
品。謎を解きながらちょっとドキドキ、ゾっとする位がいいんです
よ。

 文章も綺麗です。行間から怖さのなかの寂しさや美しさや色気が
立ち上って来る竹本氏の筆致が素晴らしい。行間から、ってとこが
ポイントですよ!決してあからさまではないのです。そんなディ
ティールに夢中になって、肝心のトリックや種明かしを軽く流して
いたのですが、読了後また最初からパラパラめくってみると、お~、
なるほど~。これ、そういう意味だったのか~。とすっきり。

 これ、なんで今まで絶版だったんですか。名作じゃないですか!
いいなあ。好きだな~。竹本健治

 星4個。