エデンの命題 島田荘司

 短編集?でもないな。中編二作で一冊です。

「エデンの命題」

 ああ~。このテーマはね、イギリスのある作家の某作品で記憶に
新しいですね~。どちらがパクった、とかではなく複数の人が共通
して思いつくアイデアなんですね。でも、やっぱり落としどころが
違うんです。島荘らしい、ミステリ仕立てのミステリ的仕掛けのあ
る、大掛かりなテーマの割にコンパクトに纏まった、面白い作品で
した。このネタならば、破滅的なラストか、安定しているけど虚無
感の強いラストかどっちかだろうなー、と思っていましたが...おお
う、こう来たか。


 ビートルズの曲が、ってザゼツキーもそんなんでしたよね。脳の
お話は、ロシア軍艦がそんなんでした。同じテーマで複数の作品を
書く人って作家でも漫画家でもよくいますが、おそらく一つのお話
を書こうとして色々資料を集めたり調べたりしてゆくうちに面白い
んだけど今書いている作品には収まらないエピソードが出て来てし
まうんでしょうね。で、それを使って次の作品を書くと、同じテー
マの作品が複数出来てしまう。決してそれに異を唱える訳ではあり
ませんが、ちょっぴり「またか」と思ってしまいました。

 星3.8個。