砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 桜庭一樹

 ららっ。もしかして、もしかしなくても、女性ですか?桜庭一樹
てっきり男性と思っていました。

 「赤朽葉〜」はまだまだ予約の順番が回って来そうにないし、で
も何か読んでみたいな〜。とタイトルに惹かれて本書を手に取りま
した。薄いし表紙も大人しめの字体でリリカルだし、まさかこんな
どぎつい展開が待っていようとは。

 容赦ないストーリーも、リズムに乱れの無い文章も良かったです。
下手な書き手だと小説って「起こった事を描写する」ことばかりに
なりがちなのですが、本書はあることがらを「弾丸」に例えていて
それがとても巧い。ああ、そういえば「文学」って比喩とか暗喩と
か、そういうものがとても重要であったはず。最近密室とかアリバ
イとかそのテのものばかり読んでいて忘れてた...。

 藻屑やなぎさのお兄ちゃんの人物像は読了後も鮮やかに印象に
残っているのに語りべであるなぎさ自身の印象が驚く程薄いのが
少し残念。

 星3個。