嫌われ松子の一生 山田宗樹

 無計画に図書館から借りた本を端から読んで行ったら丁度年越時
の読中本がこれになってしまいそうで、いくらなんでも新年の幕開
けが「嫌われ」は嫌だなあと思い急ピッチで読了しちゃいました。

 限りなく痛い女の一生。ドラマを最初の三回位観ていたので(三
回目で弟役尾上松也たんが松子に絶縁宣言してたので、もう松也出
ないのか、とそれ以降観なかった)私の脳内イメージは中谷美紀
はなく内山理名です。

 嫌われ、と言っておきながらなんだかんだ言って可哀想で同情さ
れ、愛されるキャラに作ってあるんだろうな、と思ったらそうでも
ないのが面白い。他に道があるのにわざわざ悪い方の道を選んでず
んずん進んで行ってしまう松子。その愚かさの行方が、どうあの惨
めな最期に繋がってゆくのか。

 松子の一生を解き明かす役回りの甥っ子が松子への興味を深めて
行くのと読者の気持ちがうまくシンクロして夢中で最後までページ
をめくらせます。ものすごくイラっとするし、松子に感情移入する
わけでもないけれど、やめられませんでした。てことはやっぱり魅
力を感じているのかな、私にはないもの、信じて突き進む勢いを
持ってる松子に。

 星3.6個。