となり町戦争 三崎亜記

 惜しいんだよな〜...。

 着想は面白いけれど、そのアイデアを消化しきれていない印象。

 この作品を通して彼が表現したかったことは、読み手が知識や想
像で色々補えば見えて来るとは思うけれど、作者が読み手にそこま
でを期待するべきではないと私は思う。もっと旨く書けばより多く
の人に伝わりそうなのに、というもどかしさを感じました。行間か
ら読み取ってもらうべくこのような書き方をしているのかもしれな
いけれど、それには読み取らせる行間を描かなければ..。夏目漱石
ドストエフスキーも、最近の人で言えば伊坂幸太郎も、そこのと
ころが巧い。難解さがあったとしても最終的にきちんと読者に「伝
わる」から多くの人に読まれているのだ。

 でもおそらく私がここに書いた不満など彼はすぐに克服してしま
うだろうし、不満と言ってもまず面白かった、という感想あっての
うえでの不満なので、今後が楽しみな人であることは間違いありま
せん。新年早々「御手洗萌え〜!」でもないでしょう、ということ
で、 めずらしく真面目な感想を書いてみました。

 星3個。