生死不明 新津きよみ

 はじめての新津きよみさん。ああ、なるほど。こういうタイプの
作品を書かれる方だったのですね。うわついたところのない丁寧に
作り込まれた作品だと思いました。

 とても興味深いテーマでした。肉体の生死と人の心の中の存在の
生死。なかなか男性作家には描けない部分を鋭く突いてきたな、と
いう感じ。ラストもびっくりしました。怖い。どろどろした怖さ
じゃなくって背筋がヒヤっとする怖さ。ノリノリで中盤までぐいぐ
い読んでいましたが、ちょっと登場人物の人間関係と過去が煩雑で、
こういう風に人間関係が入り組むこと自体がありえないよなあ、と
終盤少し冷めてしまいました。

 星3個。