竹馬男の犯罪 井上雅彦 -綾辻・有栖川復刊セレクション-

 どうにもこうにも読みづらくて序盤で挫折した短編集「遠い遠い街角」
が頭にあったので本書のこの厚さ、しかも二段組。読了を半ば諦め気味に
でも綾辻・有栖川復刊セレクションだしなあ..。と微妙な気持ちで読みは
じめましたが、序盤のサプライズに引きずられて無事読了出来ました。

 乱歩とか久作好きならきっとそそられてしまうサーカス団で起こる密室
殺人。次から次へとめまぐるしく登場するフリークス達(双子のクラウン
も出て来るぜ!)には絶対何か謎を解く鍵がある筈!と注意深く読んでい
たのにまんまと途中で訳が解らなくなる。この作品世界が好みなのでミス
テリ的な種明かしがイマイチだったとしても私は満足だわ!と思っていた
矢先にどでかいサプライズが..!乱歩、久作の様な嘆美さには欠けるし真
犯人もやや唐突だけどそんな不満を補ってなお余り有るゴローの物語の驚
きと面白さ!うん、満足。読んで良かった。さすが綾辻・有栖川復刊セレ
クション!挫折本も再チャレしようかなあ...。

 星4個。