赤い夢の迷宮 勇嶺薫(はやみねかおる)

 はやみねかおる名義でジュブナイルを書いて来た作者が勇嶺薫名義で大
人向けのミステリを書いたとの事。おそらくはやみね名義のものを読んで
いる人が「ああ、大人向けを書くとこうなるのね〜」と比べるのがまっと
うな楽しみ方なんでしょうねえ。はい。そうです。はやみね作品読んだ事
ありません。いきなりこれから入っちゃいました...。

 ああ、ジュブナイルの人なのだな〜と思いました。色気や嘆美な装飾の
ないとても読み易い文章。恐いシーンも気持ち悪いシーンも描写がソフト。
ソフトだけれど、仕掛けは結構本格で、特にエンディング部分の展開は私
のツボのど真ん中。好みのラインだったので「うお〜、きたきた!」と快
哉を叫んでしまいました。

 解る人だけ解ってくれればいいのよ、と自分の世界を追求するのもあり
だけど、きちんと読み手に面白さが伝わる様配慮がされている、買った人
に「損した」とは言わせないぞ、という心意気を感じました。お値段なり
の価値がきちんと有るエンターテイメントでした。

 星3.6個。 


 最近図書館ラブコメ有川浩が女性だと知ってたまげました。確かに書
いているのが女性と考えればスッキリするモヤっと部分が多々あった。は
やみねさんは私ずっと女性と思っていたけれど、この女性の描き方は明ら
かに男性作家ですね。あ、後書きで奥さんに謝辞を述べてる。やっぱり!