トリプルプレイ助悪郎 西尾維新

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　うげら！

　前作「ダブルダウン勘繰郎」で「騙されたぁっ！」と叫んだ私。今度こ
そ騙されないもんね、と細かく細かく注意しながら読んだのに..。また騙
された...。

　正確には三つの謎のうち二つまでは看破したのだがそれはあくまでサー
ビス問題。残りの一つを当てられなければ看破したとは言えまいよ。して
またその当てられなかった謎が他の二つを当てた得意な気分など「そんな
もの掃いて捨てておしまい！」と毒づきたくなる位騙されたことが悔しく
なるタイプのトリックなのだ。馬鹿馬鹿しくも、本格。

　西尾維新はミステリを本当に愛しているのだなあ。ミステリ作家なんて
皆ミステリが好きだから書くのだろうけれど、蘇部健一とか西尾維新とか
（もちろん今回トリビュートされてるJDCを書いた清涼院流水も）愛すべ
き馬鹿馬鹿しさを真っ向から描く人ってほんとーーにミステリが好きなの
だな、と思ってしまう。格好良い探偵の推理をクールに描く人よりも。

　最近ではすっかりラノベの人という印象の西尾維新だけれど、キャラも
のじゃないこっぱずかしくなる様な大真面目の超本格も是非一度書いて欲
しい。重厚な装丁のハードカバーで。ここまでネームバリューがあればも
うそういう冒険してみてもいい頃だと思うのよ。

　星4個。

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