コーリング 闇からの声 柳原慧

　全然期待していなかったけれどなかなか面白かった！

　先日独身の友人と呑んでいて、このまま結婚もせず将来一人で死んだら
誰も発見してくれないかもしれない、という話題になったのですが、そう
いうケースで残されたものやぐちゃぐちゃになった跡を片付けることを生
業としている主人公。そりゃ孤独死の後片付けしてたらミステリの種なん
ていっぱい拾うわな、と思いますがその上彼は「見え」ちゃう人で...。

　そんなにうまくいくかいな、と都合の良い展開が気になるものの（あの
外科医が彼等に掃除を依頼するなんて保証はどこにもないし。）テンポと
キャラが良く一気に読まされました。友人の坊さんがなかなか面白い。

　違うだろ！と思ったのが気持ちの悪い仕事後に、ステーキに食指が動か
ない主人公がフライドチキンに喜ぶこと。私は血の滴るビーフステーキよ
りも、むしろ骨つき（しかもチキンは皮までついてるし）チキンの方があ
あいうものを色々連想させられて食べられないと思う。あとは、登場人物
が少なくて犯人候補が一人しかいないこと。こりゃ「誰なのか」だけは誰
でもわかっちゃいますわ。

　この設定とキャラを一作で使い捨てるのは惜しい。シリーズ化されると
い〜な〜。

　星3.5個。

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