陽気なギャングの日常と襲撃 伊坂幸太郎

 作者もあとがきで述べているとおり、ギャング達の会話、やりとりが面
白いシリーズなのでバラけさせて一人一人を主役に据えた短編というコン
セプトはちょっとはずしたかも。

 前作では彼等がギャングたる所以の「銀行強盗」で大きな盛り上がりが
あったけれど、本作はタイトルにも「日常」とある様に割合淡々としてい
ます。それ自体は良いのだけれど、この他人の事件に彼等が首を突っ込む
のが心情的に理解できずあまり入り込めないまま終わってしまいました。
彼等がノリ的にこういう事件に関与してワイワイやりたい、っていうのは
伝わって来るけれど、どう考えても臑に傷持つ彼等にはリスクが大きすぎ
ると思うのです。

 悪くはないけどもっと銀行強盗バリバリで響野の演説ガンガンを求めて
いたんだなあ...。

 星3.2個。