殺戮にいたる病 我孫子武丸

 今更ですが、読み落としていた往年の名作を。

 少なくともね、年間百何十冊ってミステリを読んでいて、こちとらトー
シローじゃねえわけですよ。ミステリ読みとしてはね。しかも散々あちこ
ちでレビューなぞみて「○○トリックの傑作!」みたいな言われ方をして
るのも知ってるわけ。刊行当初ならいざしらず、今更、諸々の○○トリッ
クを読んで来て百戦錬磨!とまでは言えないまでも、こんな解り易い伏線
見落としてひっかけの方向性すら見破れなかったって、どうよ?ミステリ
読みとしてアンタ、情けなさすぎやしないか〜〜〜!(泣)

 というわけで、完敗でございます。良く出来てますね〜。あちこちに当
時は適切だったのだろうけれど今となっては「親切すぎ?」とも思える程
ヒントをちりばめてあり、そしてそれらから読者の目をそらす役割で巧妙
に仕掛けられた強烈なエログロ描写。本当に巧いなあ。

 平成初期に書かれた作品ですが、今はなき六本木WAVEが出て来て、ヒ
ルズ以前の六本木にえも言われぬ懐かしさを感じました。

 星4個。