栄光一途 雫井脩介

「ジェシカ」を読んだ直後にまたしてもスポーツもの。偶然です。
狙ってはいません。スポーツ、ドーピング、っていうネタはミス
テリ的に流行り？
　
　読みやすいです。柔道が全くわからない私でも最後までするっ
と読めました。たぶん試合のシーンの描写が巧いのでしょう。他
の人の作品で試合の描写が多用されてたら、スポーツ音痴の私は
多分途中で読むのやめちゃいます。

　残念なのは主人公よりも友人深紅のほうが魅力的なこと。彼女
を探偵にして続編が書けそう。あとは犯人がわかってからの説明
がほんの数ページであまりにもあっけない。動機についても半ペ
ージ位でおわっちゃって、「ふうん・・・。って、それで終わり
かよ！」って感じです。
　
　新潮ミステリー倶楽部賞の受賞作なので最後に選評がついてま
すが、馳星周のコメントになるほど、と頷く。もっともだ。

　いろいろ文句も言いましたが、デビュー作でこれだけ読みやす
く最後まできちんと読ませるものを書けているのはかなりすごい
ことだと思います。

　星2.5。

火の粉
虚貌