独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明

 ♪もしも〜し〜、ユニバ〜サ〜ル...。

 誰も知らんか?こんな歌。しょっぱなから横道に逸れましたが、端的に
申し上げましょう。

 これは凄い。

 次々と繰り出される面妖で独創的な世界観。グロいわ痛苦しいわ凄惨だ
わ。きっついのだけれど先へ先へと読み進めてしまう。突飛だけれど決し
てイロモノに終わっていない。文章力も描写力も、ちゃんとしている部分
はものすごくちゃんとしているのだ。逆に言えばこの路線はある程度の完
成度がないと読めたもんじゃないのである。

 表題作と「オペラントの肖像」が秀逸。こういうアイデアを「発想」す
ることが出来る人はある程度いるのかもしれないけれど、きちんと広げた
風呂敷を畳んで、物語を収束させられるこの人は、やはり才能と実力のあ
る人なんだと思います。

 まだまだ小説には私の想像力を遥かに越えた可能性がいっぱいあるのだ
なあ、と感じさせてくれました。今後に俄然注目の星4個。