白菊 藤岡真

 このタイトルでミステリと来れば読まないわけにはいくまいよ、と発売
当初に思ったのに今まで読むのを忘れていました。

 私がこのハンドルネームをつけるきっかけとなった歌が何度も出て来て
重要なキーとなっているし美術品や骨董などはとても好みのモチーフなの
で楽しめました。「わたし」が誰なのか、失踪前と失踪後の時系列のズレ
がどう繋がるのか。謎としては定番ですが一筋縄ではいかないのが良し。
超能力モノはあまり好きではないけれど、このオチはすんなり受け入れら
れましたよ〜。うん、納得。^^

 割と最近の作品だし携帯電話も出て来るけれど、流れる空気が何故か昭
和の匂い。終盤では火も出て来るのにクライマックス感の薄い気怠いテン
ションのせいか、はたまた行きずり的に関係を持つ登場人物のウエットで
背徳的なノリのせいか。(平成文学の行きずりの関係は大抵もっとドライ
であっけらかんとしている)ああ、不思議。この妙な空気は何だろう。

 私はこの人はじめて読んだのですが、後書きでびっくり。バ、バカミス
系作家さんなのですか!あらら。こりゃ他のも読まな!

 星3.7個。