ゴールデンタイム―続・嫌われ松子の一生 山田宗樹

 もうこの人の作品は読まないだろうな〜と思っていたのに「続・松子」
と言われてしまうと素通りすることも出来ず、読んでしまいました。
 
 続・松子とはいえ皆さん御存知の通り松子は鬼籍に入っていますので彼
女の人生を追っていたあの甥っ子の物語です。

 松子が何故面白かったか、それはあの強烈猛烈キャラ松子の魅力に負う
部分が大きかったわけで、松子よりパワーダウンするキャラ達で送る続・
松子。はなから勝負になっていません。続・松子と思わずに読めば面白い
のですよ。二人の若者の人生に迷いながらの成長ストーリーとしてそこそ
このレベルだし充分楽しめます。松子を期待するから「あ〜あ」ってなっ
ちゃう。なんで続・松子なんてタイトルにつけたんでしょうね。そうすれ
ば売れるからか...。

 松子より地に足のついたキャラ達なのに彼等より松子の方がずっと瑞々
しくリアルでした。桜庭作品の感想で以前書きましたが現実的なエピソー
ドや性格≠(ノットイコール)リアルだと私は思います。デフォルメされ
た突拍子のない出来事や人物像で描かれた真理の方が時には現実的な実感
を持って読者に迫って来る。それは絵画でも言えること。デフォルメは重
要なのだ。この作品でミックさんが一番魅力的なのもそういう理由からで
はないでしょうか。

 星2.5個。