銀河不動産の超越 森博嗣

 わはははは。素敵素敵。序盤が入り込めなくて途中で読むの止めようか
と何回か思ったけど止めないでよかった。

 森博嗣にハマりたての頃、大作「有限と微笑のパン」にノックアウトさ
れた私はその後のサラリとした軽めの森文学にどうしても物足りなさを感
じてしまうことが多かったのですが、最近ようやく「軽さ」を楽しめる様
になって来ました。もともと詩的なリズム感ある文章を書こうとしていた
森氏としては今の作風が肌に合っているのだろうなあ、と思います。

 本書も軽めといえば軽め。サクサクすぐ読めてしまいますが、全然物足
りなくはありませんでした。ちょっとあり得ない話なのですが、さりげな
く工学博士森博嗣の家観、人生観、家族観までもが織り込まれていて成る
程なあ~、と思いました。

 「家」というのは大きな買い物だけに建築の素人としては大部分をプロ
にお任せするより他なく、出来上がった家に生活しながら家の方に生活ス
タイルを合わせて行ってしまうことが多いのではないかと思うのですが、
この家の様に、まず大きな箱があって、その中に人が住んで生活スタイル
に合わせた家が出来て行くというのはいいなあ、と思いましたよ。

 星3.7個。