ファミリーポートレイト 桜庭一樹

 はふ〜。疲れたー。

 読むのにとっても時間がかかりました。読書スケジュールが大幅に狂っ
たわい。(図書館派は読書に締め切りがあるのだ)

 赤朽葉を一日で読んだ私は本書も二日もあれば充分、と踏んでいたので
す。ところがどっこい。進まない進まない。文章のテンポもゆったり目だ
し、いちいち言葉を咀嚼してイメージして行かないと進めない。エンタメ
から文学志向にシフトしたのか、はたまた受賞により読者層が広がった桜
庭さんが「理解してくれる人だけがついて来てくれればいい」と読者をふ
るいにかけたのか。受賞すると編集から口出しされずに自分の書きたいも
のを書かせてもらえるようになる、と言いますが、どうなのでしょう。

 内容的には桜庭スタンダードとも言える、マジョリティにうまく混ざれ
ないちょっと変わった女の子が自分と他者、自分と社会の距離の取り方を
模索しながら生きて行く系。一人の小説家が生れるくだりなんかはとても
面白かったけれど、「七竃」や「砂糖菓子」にあったピリっとした言葉の
キレがないのが残念。桜庭さんは短い作品だと詩的なのに長くなると散文
的になるんだなあ。

 星3.3個。