雲上都市の大冒険 山口芳宏 【しら菊の猫でもわかるミステリ用語解説付き】

 うわはははは。面白かった!

 誇張って大事だ。はちゃめちゃさが程良いわ~。この強引なトリック!
強気なシリーズ化宣言、ミステリ好きならこの時代好きでしょ?と言わん
ばかりのベタな時代設定。探偵のエキセントリックさも合格!しかも二人
探偵。←ツボポイント。

 炭坑という舞台、監禁されていた座吾朗(この名前がまた座敷牢を連想
させて暗い)の脱出、あのトリック、暗いアプローチになりそうなのに何
故かカラっとしていて明るいノリ。リアリティの薄いトンデモトリックが
とっても効いてます。ここで地味な実現可能トリック持って来たら気分ダ
ダ下がりだもん。いいのよ、この荒唐無稽さが。場末の飲み屋のマジック
ショーみたいな、嘘臭さを楽しむっていうか...。(単なるもののたとえ
で、そんなショーは実際観た事ないけれど)

 もうちょい短くして一気に読める分量にするか、これだけの枚数にする
ならば座吾朗の過去にもっと分量を割いた方が面白かったかも、とは思う
けれど、おおむね満足しました。続編も楽しみ!

 星3.7個。

しら菊の全然役に立たないミステリ用語解説
・座敷牢
 横溝系の古めかしいミステリには付き物(変換候補一位が「憑き物」な
私ってどうよ?)の大道具。夜な夜なうめき声が聞こえて来たりしたら、
それは幽霊などではなく座敷牢に誰か監禁されていることが多い。