夜の光 坂木司

 よろしいのではないでしょうか。米澤穂信古典部シリーズの天文部版
といった趣の坂木司ノンシリーズ短編集。

 今までどうも坂木さんは面白いと思う反面苦手な部分もあって、それが
本書では払拭された感があります。どこが苦手だったのかというと、作者
とキャラクタの距離感。ひきこもりシリーズなんかも作者の主役二人への
愛が若干読んでいて重かったんですよね。もう少し離れてもらった方が心
地よいかな、という...。本書は坂木さんが過去の作品よりも冷静に離れて
キャラクタを見ている、適度なクールさがあって良かったと思います。

 ちょっと微妙なニックネームの天文部面々がなかなかの面白さ。ゲージ
の軽口に対するジョーの切り返しは毎度毎度予期していながらも笑ってし
まいました。

 最後に一点どうにも納得がいかなかったこと。私が先生だったら、どん
な理由があっても屋上で生徒が火を使うことは黙認しないけどなあ。だっ
て、もしものことがあったらどうするよ?突風で何かに火が燃え移ること
だってあるわけだし。

 星3.7個。