萩原重化学工業連続殺人事件 浦賀和宏

 もうなにせ辛い時代が長かったもので本書も「大傑作じゃね?」と思っ
てしまったのですが、かの時代に培われた評価基準値がおかしいですか、
そうですか。



 「好き好きベイビー」とか「メグローズ」とか出て来ないだけで安堵。
以前からのテーマである脳。脳を持ち去られる死体。連続殺人。死なない
女、祥子。あれ?この設定どこかで見ましたね。死なない男...。

 ロジカルなミステリ加減と、有り得ない系創作加減が懐かしい。ああ、
浦賀さんの良さってこういう所だったよなあ。しかし続きが出るとするな
らば収束に向かうと思っていたのに、ここからもしかしてまた広げます?
これ、いつの時代の話なんだろう。この時点での萩原っていくつなんだ?
色々想像は尽きませんが。ファンとしてはこのまま続いて欲しいと思う次
第。っていうか忘れてたよ、萩原なんて...。

 星3.8個。