ブラックペアン1988 海堂尊

 私にとっては二冊目となる海堂作品。以前読んだ螺鈿迷宮は序盤で謎
が明示されどういう主旨の物語なのかがわかりやすかったのですが、本
書は新人医師世良から見た変わり者医師高階を描きたいのかな〜、と思
いきや中盤から渡海医師の描写が多くなり、でもタイトルのブラックペ
アンは佐伯医師の持ち物なんでしょう?と。一体何が描きたいのか、何
を読ませたいのか、モヤっとしながらの読書でした。

 終わってみれば自分が思い至らなかったブラックペアンの真相も、佐
伯、高階、渡海三氏の立場や思惑もとても面白かったので、終わり良け
れば全て良し、ということで...。

 で、どうも、これが。以前も気になった読みにくさ。説明的で固い文
章な割に、肝心なところで説明が足りないんだよな〜。場面転換が解り
にくくて、思っているのと違う場所に物語が動いているのに気付かず混
乱したり。手術描写もスピーディーすぎて読者をおいてけぼりにして進
む印象。油断して読んでいると「わわ、ちょっと待って」と中断して数
ページ戻る羽目に。

 と、文句を言いつつも看護婦猫田のことも気になるので他の作品もお
そらく読みます。螺鈿迷宮読んだ時は、このまま海堂道からは撤退かな
と一瞬思ったんですけどね。

 星3.5個。