警官の血 佐々木譲

 ひと頃かなり話題になっていた本書。期待に違わず満足の面白さで上下
3日で一気読み。本格ミステリも好きだけれど警察小説もやっぱりいいな
あ。

 戦後すぐから現代まで親子三代の警官の物語。桜庭さんの「赤朽葉」と
島田雅彦の「無限カノン」とか数世代に渡る大河ドラマがもともと好き
だし、戦後以降の昭和という時代も物語の舞台として好みの設定なのでと
ても楽しめました。

 丁寧で良いなあ、と思ったのが、ある登場人物が精神的に病んで行く過
程がきちんと描かれていること。そのため彼が最終的に無謀な行動を取る
事にリアリティが出て読者は納得が出来る。筋立てのためにこの行動を取
りました、的な不自然さがないのです。

 しかしこの手の数世代ものって大抵最初の世代が一番面白いのよね。何
故だろうね。

 星3.9個。