割と早い段階で漠然とではあるものの真相を予見させるのですが、最後
までぐいぐい読ませます。
もともと昭和の戦後すぐあたりの時代の小説が好きだし(
京極堂とか)
ド新人ではなく既に本を出している作家さんとのことで、読み易くある程
度の筆力もあるので物語の世界にスッと入れました。
勿体ないのは種明かし部分が細かくてわかりずらく説明的になっている
こと。終盤が説明をひたすら読んで納得する、という作業的な読み方にな
らざるを得ない。本当はパッと明解に種を明かして読者に「ああ〜!そう
か!」ってアハ体験をさせて欲しいんですよ。これがこれこれこうだから
こうなんですよ、って細かく説明されちゃうと「はい、わかりました」っ
て感じでその感動が薄いんだなあ。種明かし部分を上手く書くことの難し
さを感じました。
星3.7個。