哲学探偵 鯨統一郎

 またしても最後まで一気に読まされた!

 何度も言っている事ですが、私は短編集の挫折率が非常に高いです。数
冊併読派なので、話の切れ目で他の本に移動しちゃって戻って来れない。
そのまま図書館に返却、というパターンがとても多い。でも鯨さんのワン
パターン系連作短編は挫折率ゼロなんです。マグレも包丁人も一気に必ず
最後まで読める。この吸引力は何でしょう。

 本作も見事なまでのワンパターンの繰り返しです。でも後をひくのよ。

 哲学、競馬、短歌、と気前良く色んなネタが盛り込まれていて贅沢。哲
学ってはまり込んだら大変そうだけど、雑学的にサラっと色々な人の思想
を学ぶ分にはとても面白い。好きなテーマです。トリックに関しては、そ
こはそれ、鯨さんなので「え〜っ?」と思うものもあるのですが、そこま
で含めて鯨短編集が好きだ、私は。

 星3.6個。