七つ星の首斬人 藤岡真

 犯人宛てという面からはなかなか面白かったと思います。ふりかえれば
フェアに序盤からヒントも提示されていたし。ちょっと強引かも、と思う
部分もありましたが。

 しかし...。しかし...。うーーーむ。

 途中何度も挫折しそうになりました。中盤が冗長とかそういうことでは
なく、先が気にならないのです。場面が変わる度にまるで違う物語を読ん
でいる様で、思考が分断され作品世界に入り込めませんでした。トリック
に多少の期待はありましたが、どうも、「別にこの中の誰が犯人でもいい
や」という状況。ミステリとしての完成度も大切だけれど、それ以前に小
説としての「物語の面白さ」も重要だと思うのです。「先が気になる」と
いう気持ちにさせなければせっかくのトリックも凝った伏線も意味がない
わけで...。

 どうも「なんかおかしい。もっと面白い筈」という気持ちがぬぐえず、
さらっと最初から読み返そうとしたのですが、結局中盤で挫折してしまい
ました。(笑)

 
 「白菊」がとても面白くて期待が高かっただけに厳しい評価になったか
もしれません。

 星3個。